湯女(ゆな)

中世より存在し、浴場で髪の手入れやあかすりなどのサービスを提供した女性。江戸時代初期には、都市の風呂屋などでも「流し」のサービスを提供した。湯女は、利用客と温泉(自然)とが一つになるための媒介者であるという考え方をされており、自然と人とを媒介する巫女的な役割を果たしていた。人間が生まれる前は、母親のお腹の中で羊水(ようすい)と呼ばれる水の中で育つが、まさに温泉とは、生まれた後も人間が本来の自分や自然に帰りたいという願いを叶えるものであると言える。
(『温泉からの考察』p.145参考)